(注)は日本の項目
10〜5万年前 ネアンデルタール人が、弾力に富んだ木の枝などを利用して小動物捕獲のためのを使い始める

約2万年前 狩猟用にを発明。やがて武器としても使う

(後期旧石器時代)
縄文時代 アズサなどの丸木の枝をはらって作った丸木が使われ始める

青銅器時代 2枚の刃をすり合わせて物を切る道具として、はさみが誕生

BC1400年代 中国(殷の時代)ではしが発明される

BC1300年頃 エジプトで青銅のはさみを使い始める

BC500年代 中国最古の兵書「孫子」に木製の板ばねを重ね合わせた弩(いしゆみ)が投射武器として登場
弥生時代 竹をピンセット状に折り曲げたはしが使われ出す

BC100年代後半 ビザンチンの発明家フイロンが馬などの毛を編んだ弦束を用いて矢の投射装置をつくる
4世紀末 鉄製の握りはさみが使われる

8〜14世紀 中国の大天文時計に「弾(こんだん)」(回転しパチンと動くばね)が使われる
1150年頃 ヨーロッパでばねの関節がついた指のある鉄製の義手がつくられる
1450年頃 中世ヨーロッパに渦巻ばね、ぜんまいを用いた時計が現れる

15世紀半ば 乗用馬車の懸架装置に用いるばねが考案される

1450〜70年頃 ヨーロッパでばねを引金に用いた火縄が完成


1500年頃 レオナルド・ダ・ヴィンチが力学を研究、一対の板ばねを用いた4輪の“自動力車”の構想を文書に記す。また、渦巻ばねを銃の歯車式引金に使う
(ルネサンス期)

1544年 種子島の刀工・八板金兵衛清定が国産第1号の鉄砲を造る。引金などにばねを用いる
1612年 徳川家康にスペイン領メキシコの総督からぜんまい式置時計が贈られる
17世紀 ガリレオが弾性力学に関する著作を発表、その概念をニュートンが運動法則として仕上げる
1669年 イギリスの海軍史家ペピスが、「銅製ばねを馬車に実験的に使った」と日記に記録
1678年 フックが応力と歪みの比例関係を発見し、「ばねの力について」として発表、弾性理論を確立(フックの法則
1700年代 鯨のヒゲでつくったぜんまいやばねを動力に用いた“からくり人形”の芝居が一世を風靡する
18世紀 ヨーロッパでぜんまいの力を利用した自動機械人形が全盛となる
18世紀半ば ヨーロッパで人力車に板ばねが装着される

1796年 自動車の第1号が誕生。以後、懸架装置、エンジンなど各部にばねを用いる
1804年 エリオットが自動車の懸架用板ばねの原型ともいえる楕円形ばねを発明
1865〜68年 自転車が持ち込まれる。サドルを支える鉄板が板ばねを兼ねる

明治3〜4年 人力車用の板ばねを国産化。以後、専業のばね製造業者が現れる

明治4年 中野寅吉が人力車用板ばねの製造を目的に中野スプリング製作所を創業。後に日本初の車輛用板ばねを作る
明治10年 第1回内国勧業博覧会に神田喜三郎、金子久蔵がばねを出品

1907年 ガソリンエンジン搭載の自動車が登場


ばねの語源

 「ばね」の語源は「跳ねること」が訛って濁ったもの、というのが『大言海』や『日本国語大辞典』の解釈である。
  元禄時代に成立した『書言字考節用集』に見られる「鎖子(じょうえ)または鎖(はね)」という言葉をもとに、もう一つの説が出されている。鎖子は鎖帷子(くさりかたびら)、鎖は鎖襦袢(くさりじゅばん)のことで、どちらも武士が身につけた戦争用の下着であり、釘線が網状に織り込まれ、多少の弾力性を備えていた。これが刀や槍を「はね」のけたので、ここから「ばね」の古語が生まれたというわけである。
 「ばね」を表す漢字としては、鎖鬚(さしゅ)、発軌、弾機、発弾、発条、撥條などが当てられてきたが、その由来は今となってはどれも定かでない。しかし、寛政8年(1796)に細川頼直が著した『機巧図彙(からくりずい)』では、ばねのことを「弾金(はじきがね)」あるいは「はじき金」と記しているし、文政2年(1819)に鉄砲鍛冶の国友藤兵衛能当が書き残した稿本『気砲記』には「ハシキ金」、また井上流砲術の伝書には「弾金」とある。したがって、部品として独立した呼称である「発軌」「弾金」を「弾機」に当て、また「はじきがね」を「跳ねる」とひっかけて、これが「ばね」へと訛ったのではないか――こういう説が、現在ではばねの語源説として有力になっている。


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