従業員
当社は「人を大切にする」という企業風土のもと、従業員を大切な財産と考え、「人材」の雇用と育成に取り組んでいます。多様な価値観を持った各人が個々の持ち味を生かして活躍できる企業であるよう、人材の多様性だけでなく、労働安全衛生、福利厚生などの充実を図っています。
人材の雇用と育成
雇用における基本的な考え方
当社は「常に新しい考え方と行動で成長する」ことを企業理念の中に掲げ、型にはまらず可能性に挑戦しチームワークで困難を乗り越える、意欲を持った人材を広く求めています。
人材の多様性の面では、特例子会社を通じて障がい者雇用を一層推進しているほか、女性や外国籍従業員の採用にも積極的に取り組んでいます。また、トップアスリートといった多様な分野で優れた能力を持つ人材を採用し、活躍を支援しています。
人材育成
当社の人材育成は、持続的成長のために、人材力、組織力の両面から質的向上を目指しています。
まず人材力の面では、従業員一人ひとりが企業理念を意識し、それを自身の行動に示すことを基本に据え、目指すべき人材像を踏まえて上司と話し合って能力開発目標を定め、達成へ向けて業務に取り組みます。
各人が受講する研修制度には、階層別や職務・職能別の集合研修のほか、事業のグローバル拡大を背景とした外国語や異文化研修なども行い、多様な価値観の受容力や、異文化コミュニケーション力の向上も目指しています。
また、組織力の面ではものづくり企業としてより一層、競争力を高めるため、製造現場の改善リーダーを養成する講座や、事業戦略レビューを実践的に行う戦略思考講座、創造性や変革力を養う講座も実施しております。
こうして、自ら成長しようとする「個人」を「組織」の力で育成し、それらを「人事制度」でサポートする、三位一体の人材育成に、これからも会社全体で取り組んでいきます。
採用活動
多くの学生に当社を認知してもらうために、「キーパーツのプロ=ものづくりのプロ」をキャッチフレーズとしたニッパツの働き方がわかる「仕事体験」や、当社の働き方をより知りたい希望者には人事部員との「キャリア面談」をWEB で実施しています。
また、若手従業員や中堅社員にリクルーターとして協力してもらい、実際に働いている従業員の生の声を聞いてもらう学生とのフリートークの場を設けました。当社の企業風土や雰囲気をはじめ、就職後の会社生活をイメージしてもらえるような活動を行っています。
その他にも就職情報サイトでの情報開示、当社ホームページに「採用特設ページ」を設置するなど、当社認知度の向上に努めています。
新卒採用特設サイト
健康経営の推進
健康経営の基本方針
当社は「安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場をつくる」を経営方針として掲げています。従業員が心身ともに健康でいきいきと働きつづけられることがパフォーマンスの向上へとつながり、企業の継続的な成長を目指すために重要と考えます。そのために当社は、従業員の健康推進を目指した健康経営を積極的に推進していきます。
健康宣言
「従業員と家族」「会社」「健康保険組合」が一体となって健康増進の取り組みを推進し、ニッパツグループ全体の健康意識を高めていくため、グループ各社社長と連名で「ニッパツグループ健康宣言」を表明しています。
ニッパツグループ健康宣言
ニッパツは積極的に健康課題に取り組み4年連続
で健康経営優良法人の認定を受けています。
健康推進体制
当社は健康経営を組織的に進めるため最上位機関である「中央安全衛生協議会」の下部組織となる「中央健康推進協議会」を設置し、全社健康施策の方針や実施状況の確認、実施項目の策定などを行っています。また、各事業所では、健康推進委員や健康推進担当を任命し、健康施策を進めています。
健康経営戦略マップ
健康管理・健康増進の課題と実現へ向けての施策
●メンタルヘルス
メンタルヘルス不調者の休業率、休業日数を改善しアブセンティーイズムの低減を目指すことで生産性の向上を実現できると考え、目標を設定しました。メンタルヘルス不調者数の減少や休業期間を短縮していくためには、メンタルヘルス不調を未然に防止すること、また早期発見することを進めていかなければなりません。そのための方策として、ストレスチェック集団分析結果に基づく高リスク職場低減のための職場環境改善の実施、およびメンタルヘルス教育の実施により従業員の意識向上を図ることが重要と考えます。
<施策と効果>
1. メンタルヘルス教育
採用や昇進時の階層教育や全従業員を対象とした事業所教育を定期的に実施しています。2022 年度は階層教育5 回、事業所教育を10 回実施、幅広く従業員の認識を深めるよう計画・実施しています。
※3 ラインケア…管理職が部下の職場環境などの改善や個別に心のケアの指導・相談を行うこと
※4 セルフケア…働く人本人が主体的に自分のストレスに対処すること
2. ストレスチェックの活用
- 職場環境改善
ストレスチェックの集団分析結果をもとに、職場環境改善を実施しています。 - 個別フォロー
各事業所の医療職により支援が必要な高ストレス者への個別フォローを行っています。
●身体的健康管理
身体的な理由による傷病での休業について、特に生活習慣病を起因とする場合は、重篤化により傷病期間が長期化する傾向にあります。そのため生活習慣病発症予防および悪化の防止を課題と捉え、健康増進の目標値は生活習慣病を起因とする休業の低減と定めました。
従業員の身体的健康度の増進によってアブセンティーイズムが低減し、またプレゼンティーイズムの改善が期待されます。目標達成のためには、肥満や高血圧、喫煙習慣など生活習慣病の要因とされる数値について改善を図る必要があります。
そのための方策として健康意識向上のためのツールの提供やイベントの開催、食育など健康増進教育の施策を行っています。
<施策と効果>
1. 健康づくりが見える
従業員に活動量計を配布し運動機会の意識づけ、各事業所に設置した体組成計・血圧計の活用を促進し、参加率は38.2%となっています。行動変容につながるよう「はかる→わかる」ことを習慣化し定着を進める施策として定期的にイベントを開催しています。 2022 年度は各種健康イベントを5 回実施しました。測定率は年々増加し徐々に健康意識が向上してきていることが伺えます。
2. 食べて健康「食育」
「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むために、各事業所の社員食堂を活用した健康推進活動に取り組んでいます。 提供するメニューの食材の成分表示(カロリー、塩分、糖質など)や適正摂取量の表示、塩分・カロリーを控えたヘルシーなメニューや調味料の提供を実施しています。 2022 年度は全社食堂で5,841 食を提供しました。
3. 喫煙習慣の見直し
各事業所において、健康管理室から喫煙者への禁煙の発信や指導を進める一方、禁煙デーなどに取り組み、2022 年度は全14 事業所に対し13 事業所での喫煙所の改善を実施しました。
4. 健康診断とサポート
生活習慣病を起因とする休業率、休業日数の低減のため、各事業所の健康管理室が有所見者のフォローを行っています。
各種健康指標と数値目標
労働安全衛生
労働安全衛生の取り組み
当社は、2000年度から労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を導入し、2003年度から全社展開しています。「ゼロ災害」を目標に労働災害の撲滅を推進するため、次のような取り組みを行っています。
- トップ自らの行動力:
各事業所のトップが、実際の生産現場を確認しながら、強力に安全衛生活動を推進しています - リスクアセスメント:
職場の潜在的な危険性または有害性を見つけ出し、これを除去・低減する手法 - 危険予知活動:
予め危険性または有害性に関する知識をつけることで、労働災害の未然防止を図る活動 - 安全衛生教育:
労働災害の未然防止を図るため、法令など安全衛生活動に必要な知識を習得する教育を実施
また、さらに高度な設備本質安全を実現するため、各生産本部にセーフティサブアセッサを配置していく最中です。
労働災害の発生頻度を表す指標となる休業度数率は、近年の活動成果から全産業平均や製造業平均よりも下回っています。
今後は、労働安全衛生マネジメントシステムのPDCAサイクルを適切に回し、安全衛生管理のさらなるレベルアップを図っていきます。
休業度数率は、100万時間あたりの休業災害発生確率を表しています。
働きがいのある働きやすい職場づくり
「Smart Work Project」を発足し、働き方改革を推進
当社では、従業員一人ひとりが心身の健康を保つことを第一に、働きがいのある働きやすい職場づくりを推進するとともに、多様な人材が個々の能力を最大限発揮することが、当社の持続的な発展に不可欠であると考えています。
そのため「安全で安心な会社」「働きがいがあり、働きやすい会社」を目標として、2018年度より、働き方改革「SmartWork Project」をスタートしました。
●Smart Work Project の主な取り組み
1. 多様で柔軟な働き方
- 在宅勤務制度/コアなしフレックス制度の導入
- 社内公募制度/地域限定社員制度の導入
2. ワークライフバランスの向上
- 定時退社日や完全退社時間のルール設定による、総労働時間の削減
- 労働時間管理や労務コンプライアンスに関する社内研修やEラーニングの実施
- 年次有給休暇の年間取得目標日数の設定
3. 業務効率化
- 定型作業の一部をソフトウェアで自動化する技術(RPA)の活用
- WEB 会議システムの活用、会議体の見直し
- 業務効率化のノウハウや、働き方改革の取り組み事例の共有
4. エンゲージメント診断の実施
- サーベイ結果を本部毎に部門長や管理職に開示。
各職場における課題の把握と改善アクションの実施
ワークライフバランスをサポート
当社では、仕事と私生活の両輪が充実してこそ、従業員が自己実現できる魅力的な職場になると考え、各種制度を整え、仕事と私生活を両立するための様々な施策に取り組んでいます。
●育児・介護に関わる休暇、休業、短時間勤務制度の拡充
当社では各種の両立支援制度を整えるとともに、制度を利用しやすい環境づくりや意識醸成のための啓発(研修の実施や社内報での広報など)にも力を入れています。
女性の育児休業取得率は概ね100%であり、近年は男性の取得も増えています。
また、当社の次世代育成支援対策については、「子育てサポート企業」として、2021年に厚生労働大臣の認定を受けた企業の証である「くるみん」を取得しました。
●年次有給休暇取得の推進
労使間で目標値を設定して取得を推進してます。
●再雇用制度
結婚・出産・育児・配偶者の転勤・介護・不妊治療などの事情で当社を退職した方で、再び当社で力を発揮したいという方を、一定の条件のもとで採用する制度です。
●地域限定社員制度
当社では、転居を伴う異動がない働き方をすることができる地域限定社員制度を2022 年度より導入しました。仕事に対する価値観の変化に対応するとともに、仕事と私生活の両立や、多様なキャリア形成の実現につなげています。
●不妊治療のための特別休暇制度
不妊治療に特化した制度として、年間5日間利用可能(半日単位でも可)な休暇制度を2019年度より導入しました。男女の区別なく取得可能で、不妊治療を理由とした離職の防止につなげています。
労使関係
労使協調による課題の解決
当社は、日本発条労働組合と様々な話し合いの場を設けて、相互理解に努めています。毎月本社で開催している「中央労使協議会」では労働時間や年次有給休暇の取得状況などを確認し、より良い職場づくりに向けた意見交換を重ねながら、労使の対話を深めています。また、各事業所でも、毎月、日本発条労働組合の各支部と「支部労使協議会」を開催し、日々の課題解決につなげています。
労使で対話を重ねることで相互理解と信頼が深まり、事業拡大や急速な事業環境の変化にも即応できる、労使一体の事業運営を目指しています。
また、当社と日本発条労働組合は、公正かつ安定的な労使関係を確立し、当社の発展と組合員の生活向上を図ることを目的に、労働条件全般や労使関係全般にわたり、包括的な労働協約を結んでいます。労働協約は、印刷物の配布とイントラネット掲示を通して最新の労働条件について全従業員がいつでも閲覧できるよう公開されています。